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阿蘇ライドの3日目は人生で最も忘れられない日になった - 2023/5/27

自転車を始めて以来、おそらく最も忘れることが出来ない日となった阿蘇ライド3日目。

 

走行ルート

阿蘇3日目は、おおよそ2日目に走ったルートを逆に辿って阿蘇へ戻りつつ、寄り道したり2日目に走れてないところを走る、という欲深いルートだった。(予定では上の画像とはやや違うルートだった。)

 

やっぱり朝の温泉が最高に気持ち良い

朝の露天風呂がくっそ気持ちええええええええ!くてな。日差しで目が覚めるし、お湯で身体は解れるし。

※絶対に貸し切りになる仕組みなので写真撮っても大丈夫・・・だと思う。

 

絶景ロードは逆向きに走っても絶景

絶景ロードは逆向きでも絶景やろ。何なら両方向に走ってこそ魅力の全部を知ることが出来る。というのが私が過去に西伊豆を走って感じた真理(誇張)なんですが、じゃあ、やまなみハイウェイも当然そうじゃろ。ということで逆向きに走ります。

 

由布院盆地の北側を通る国道210号は、昨日車が多くて道が狭かったのが非常に印象的だった。時間帯も16時前でクルマが多そうな時間だったけど、それにしても水分峠の日田側からくるクルマが多かったし大型も多かった。なのでできるなら避けたい。というわけで、盆地の南の縁を通り、南由布から県道11号で水分峠まで登るルートを選択。

 

由布院市街地を散策

それはそうとして、せっかく有名な温泉地に来たので街中を少し散策。

 

由布院駅。綺麗に改築されたレトロモダンな駅舎。駅舎からホームが直結で改札機も何も無いところがグッと来る。

 

駅舎からちょうど反対側を向くと、由布岳を背景にレトロモダンな温泉街が見える「THE・由布院」な画。

 

朝の山の景色は空気が澄んでいてとても綺麗。

 

朝からのんびりと由布院の風景を堪能したら、やまなみハイウェイへ向けて県道11号を登り始めます。

 

逆走のやまなみハイウェイ

由布から水分峠までの県道11号は、地図で見る限り何やらものすごいワインディングになっているので、クソ激坂か打ち捨てられた古道のどちらかだと思ってましたが、後者でした。道幅とかはほぼ林道の規格で、クルマは皆無。前半は谷筋の集落沿いで、後半半分は尾根道だったので、たぶんかつては山を越える街道だったのだろうと思います。斜度も緩かったので古い道だと思う。現在の国道が出来て、街道としては打ち捨てられたのだろうと思います。自転車乗りとしては、実質林道としてでも今なお整備されていてロードバイクで安全に走れる、こういう道は本当に最高。

 

県道11号は水分峠の500mほど手前で国道と合流し、水分峠で日田方面へ向かう国道とやまなみハイウェイ(県道11号)が分岐します。実際この国道は朝でも交通量が多かったので、回避して正解。

 

水分峠

 

水分峠を過ぎてからも蛇越展望台付近までかなりガッツリ登る。景色がさほど良くないので普通に山奥の登り坂という印象。飯田高原までアップダウンが続くけど景色は開けない。でも斜度が緩やかで空気がおいしくて非常に走りやすい。もちろん舗装もめちゃくちゃ良いので、景色が開けなくても快走路という印象。

 

迫力のやまなみハイウェイ

飯田高原まで来るとようやく景色が開けて絶景ロードになるけど、そこまでがわりと長い印象で、すぐに絶景が始まる阿蘇側とは対照的。走り始めの印象としてどちらが良いかは、好みと走力によるかな。

 

飯田高原は大分側から見るとものすごく景色が良い。昨日は阿蘇側~長者原で満足しきってしまったので飯田高原はほぼ素通りだったけど、由布院から景色の開けない道を長く走ってきてからのこの景色はかなり感動する。

 

飯田高原長者原は、九重連山がどんどん目の前に迫ってきて迫力が凄い。特に長者原へ出た瞬間、聳える山々が目の前に突然現れるのがものすごい迫力で、思わず声が出る。この九重連山の迫力は阿蘇から走ってもあまり感じられないので、やっぱり絶景ロードは両方向から走るべき。

 

時間的にいい感じなので長者原でランチ。レストハウスのオムライス。

 

これから九重連山の牧ノ戸峠を超えて阿蘇へ向かうんだけど、山の向こう側からものすごい勢いで雲が流れ落ちて来るのが気になった。北側は晴天だけど、峠越えた南側は天気が悪いかもしれない。

いや、これ絶対山の向こう側天気悪いやん?

 

牧ノ戸峠への登り坂は、北側も南側もほとんど同じ印象だった。若干北側の方が楽かな?と思ったけど、どっちも程良いヒルクライム。飛ばしたい人にはトレーニングにちょうどいい斜度と距離だし、私みたいなゆるポタ勢にはのんびり登るのにちょうど良い坂。

 

悪天のやまなみハイウェイ

峠を越えてダウンヒルを始めると空が急に暗くなった。やっぱり南側から山に雲がぶつかっている。暗いし寒い。途中、南側に景色が開ける展望台があって、天気が良いと久住高原から阿蘇まで一望出来るんだけど、ひたすらどんよりと低い雲が立ち込めていて、空が暗かった。特に見える阿蘇も雲に覆われている。

 

瀬の本高原まで下りると雨がポツポツとアイウェアを叩き始めた。天気が良ければのんびり休憩したかったけど雨なのでさっさと通過。瀬の本高原からもしばらくダウンヒルが続く。阿蘇に向かってかなりの下り坂で、一気に阿蘇が近づく。夢広場まで戻る頃には雨は止んでいて、なんなら若干日が射すぐらいで、天気は南に行くにつれ回復傾向。

 

逆転優勝のやまなみハイウェイ

正面の阿蘇山は比較的明るくきれいに見えていた。一方、振り返ると九重連山は山の大半が暗い雲に覆われていて、空の色が全然違った。つまり、やっぱり南寄りの風が九重連山にぶつかって、山の南側〜頂上付近で上昇気流になって天気が悪くなっていたということ。

 

さらに阿蘇へ近づくと阿蘇側の天気はどんどん良くなって行って、阿蘇山にもほとんど雲がかかっていなかった。時間も十分余裕があったので、ミルクロードに入って、そのままミルクロードの絶景にニヤニヤしながら東端の二重の峠を目指そうと走り出した矢先のこと。

 

メカトラはいつだって突然に

そいつはいつだって突然やってくる。

 

短い登り返しでトルクをかけた瞬間、「ガキッ」と嫌な音がしてペダルが踏めなくなった。確認するとスポークが1本の根本からポッキリ折れていた。(後で知るけど実際はニップル破損)

 

これはもう自走不能。走るのを断念して、これからどうするか考える。まずは近くに自転車屋があれば直してもらえるかもしれないので、付近の自転車屋を調べる。近く(言うほど近くない)に出張修理サービスをやっている自転車屋があったので電話して相談。場所がお店から遠く普段出張しない場所で、スポークの予備も在庫が無いとのこと。それでもなんと車を出して私と自転車をピックアップし、阿蘇の別の店かその日の宿まで運んでくれることに。

 

待ってる間に壊れた箇所を撮影しておくなど。

 

待つこと約1時間。自転車屋の感じのいい兄ちゃん(店長)が到着。見てもらうと、スポークは折れておらずニップルの破損と判明。念のため持参したと言う捨てホイールのニップルと工具で、なんとその場で直してくれて自走可能に。

 

何度もお礼を言って超絶イケメンの自転車屋さんを見送った。

 

この世で最も鮮やかな景色って何だと思う?

自走不能から奇跡(というか自転車屋さんの優しさと力による)の復旧を遂げ、自転車屋さんに教えてもらった道を走ったら、そこはとんでもない絶景ロードだった。

もはや阿蘇には雲がかかっていない。

ミルクロードから南へ張り出した天空の道を走る。(大観峰と似たような地形)

路面はガレていて、人も車も全く通らない。

 

台地の終端から盆地まで崖のように一気に落ちる地形。


あまりの絶景と、その中を自転車で走れる喜びが全身を駆け巡る。自転車で走れることがこんなにも尊いものか。


自宅から900km離れた旅先の山の上で自走不能になるという事態から、まさかの大逆転をくれた南阿蘇自転車屋さんのことは、たぶん一生忘れない。

 

その日の宿で喰った飯と酒は人生で1番うまかった。