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奥日光の絶景を楽しみ尽くす - 晩秋の奥利根・奥日光ライド day2- 2022/11/6

中禅寺湖の秘密の砂浜


晩秋の奥利根・奥日光ライド2日目は、紅葉よりも絶景が引き立つライドとなりました。

 

水上駅→一ノ倉沢→矢木沢ダム→坤六峠→片品(泊)→金精峠→千手ヶ浜→中禅寺湖スカイライン東武日光駅
1日目: 走行距離90km 獲得標高2100m
2日目: 走行距離100km 獲得標高1870m


早朝ピクニック(寒い)

タイムスケジュール的に宿でゆっくり朝食を摂る時間が無さそうだったので、おにぎり弁当を作ってもらって朝7時前に宿を出発。近くの道の駅で日向ぼっこしながらおにぎり弁当でピクニックと洒落込む。

 

朝から山でピクニックめっちゃ楽しいしめっちゃご飯うまいけど死ぬほど寒かった。特に指が。足湯があったので手を突っ込んで指先をあっためて、ナイズビューを写真に収めたら出発。

 

金精峠への苦行クライム

日光方面へ向かう国道120号を登り始める。片品から約24km、獲得標高約1100mのスケールでかい登り。村の中心を抜けると、国道120号は深い沢の底を這うように走り始める。谷が深く、朝7時8時ぐらいじゃ全く日が差さなくて本当に寒い。

 

グローブが摩耗しているせいで特に指先が冷たい。斜度が緩いのでただ走ってるだけじゃ指先まで血が回らない。運動強度上げたいけど、上げると足が死ぬので、緩い強度のままひたすら寒さに耐えるクライムを続けるしかなかった。たまに沿道に見える紅葉だけがモチベーション。

 

少しずつ斜度が上がって指先も温まってはきたものの、寒さで足がほぐれず辛い登りが続く。眺望も開けない。思えばこの区間がこの日一番辛かった。

 

ほぼ中間地点にあたる丸沼高原で中休憩。日光白根山ロープウェイの山麓側駅になっておりスキー場もある場所で、植えてある紅葉がきれいに赤くなっていた。片品から金精峠のちょうど中間地点にあるので休憩におすすめ。


丸沼高原を過ぎてしばらく登り、標高1500mほどに達すると、ようやく高度感が出てきて、少しずつ眺望も開けてきた。


気温も少し上がり、身体もほぐれてきて、苦行感が薄くなる。やっと登りが楽しくなってきた頃に菅沼に到着。時刻は午前10時過ぎ。ようやく日差しが暖かく感じるようになってきた。

 

菅沼付近は2kmほど平坦な道になっていて、茶屋やトイレ、自販機もあるので、補給・休憩に良いです。雰囲気も良いので個人的には丸沼のレストハウスよりこっちの方が好きかな。

 

菅沼の茶屋から金精峠までは残り約2kmの登り。相変わらず眺望は開けないけど、斜度もさほどキツくなく、高度感が凄いのでテンポよく登りきれた。片品から約3時間半の苦行がようやく終わった。全然景色とか良くなかったけど、それでもロードバイクで走る北関東の最高峰と言って差し支えない金精峠を登りきった達成感はひとしお。

 

金精峠日光側の絶景

トップは峠をぶち抜くトンネルになっているので、走り抜けて日光側に出ると、3時間半の苦行の辛さを一気に吹き飛ばす絶景が目に飛び込んできた。

美しい山容が堂々たる存在感を示す奥日光のシンボル・男体山と、手前には中禅寺湖の上流にあたる湯ノ湖。その間の平原には、まだわずかに残った紅葉が大地を黄色く染め上げていた。3時間半の苦行を全部チャラにして有り余るほどの絶景。金精峠を登りきって本当に良かった。

 

金精峠から湯元までは、ほぼ常時景色が開けていて、まるで空を滑りながら湯ノ湖と男体山に飛び込んでいくようなダウンヒル。めちゃくちゃ気持ち良い。立ち止まって振り返ると、今にも崩れそうな金精山が眼前に迫る。今走ってきた道もよく見える。これは登っても絶対に楽しい道だな・・・。

ただし交通量が多く、舗装はところどころ剥がれているので、あんまり景色に見とれてるとガレにハマってコケて車に轢かれて死にます。あと斜度が結構キツかった。


戦場ヶ原の圧倒的なスケール感

急斜面のダウンヒルを終えてしばらく緩やかな下りを快走すると、周囲の林が消えて高木の生えていない湿原が周囲に広がり始めた。道路の左右に広がる湿原のあまりの広さに言葉を失う。とにかく広い。超パノラマで、この壮大さは全く写真に収まらず、スケールの大きさに圧倒された。これはまじで日光ナメてました。本当に申し訳ございませんでした。

 

この2日間、宿の夕食を除くとおにぎりぐらいしかまともに食べてなかったのと、金精峠の登りと下りで身体がすっかり冷えていたので、三本松の茶屋で温かい蕎麦を食った。これが後々効いてきて、やっぱ寒い時期の昼は屋内であったかいもの食べないとダメなんだと悟った。

 

中禅寺湖の秘密の砂浜

戦場ヶ原を抜けて再び林の中を少し進むと、右手に仰々しい通行禁止のゲートがある。日光市道1002号線。中禅寺湖の秘密の砂浜、千手ヶ浜へ至る道である。環境保護のため一般車両通行禁止で、自転車は排気ガスを出さないので辛うじて通行が許可されている。

 

ゲートの脇を抜けて日光市道1002号線に入ると、周囲には既に葉の落ちた木と足元に笹が茂る林がどこまでも広がっていた。時折沢が近付く場所で水音が聞こえる以外には何の音もしない。秘密の道。路面こそアスファルト舗装でたまにバスが通ったりもするけど、ここは基本的に人間の領域じゃないんだな、ということを強く感じた。

 

途中に小田代原という湿原があり、このあたりまではごくまばらにハイカーがいたけど、その先はほとんど人の気配が無かった。

 

3kmほど緩やかに登り、切通しを超えると下り坂になる。そのあたりからますます人の気配は消え失せる、木立から差し込む日差し、風にゆれる笹の音、流れる沢の水音。それ以外の音が何もしない。


時折熊出没の注意を促す看板があり、沿道の木の中には明らかに熊が皮を剥いだと思われるものがいくつもある。本当に熊が出るんじゃないかと思う。実際にエンカウントしたのは猿だけだったけど。そんな道を5kmほど進むと舗装路が終わり、突然目の前に海と見まごうような静かな砂浜が現れた。ここは中禅寺湖の最奥。


浜に波が打ち付ける音だけが響いていた。周囲が森に囲まれていて、国道からも離れているので、車の走行音などは微塵も聞こえない。観光客が溢れる秋の日光とは思えない静けさ。人の世界から隔絶した秘密の砂浜。

 

中禅寺湖スカイライン

千手ヶ浜でしばらくぼんやりして、来た道を9km戻って国道に合流する。竜頭の滝の脇を一気に下って中禅寺湖の北岸に出る。


ここまで来るとさすがに車が多い。道も狭く舗装もあまりきれいではないので走りにくかった。中禅寺湖のいわゆる湖尻にあたる二荒山神社の大鳥居や華厳の滝周辺は観光客で溢れかえっていた。

 

そこから南へ右折して、県道250号、中禅寺湖スカイラインへ向かう。湖岸の民宿や飲食店、その先の歌ヶ浜駐車場と立木観音までは比較的車や観光客が多いけど、そこ過ぎて中禅寺湖スカイラインの登り坂が始まる頃には歩行者は皆無になり、交通量も激減する。

 

中禅寺湖スカイラインは、中禅寺湖の南東側に聳える崖のような山肌をワインディングで無理矢理登っていくような道で、紅葉もほぼ終わりを迎えた今の季節、走ってると眼前の上方にこれから走る道がよく見える。私はそういうの大好きで、これからあそこまで行くのかと思うと楽しくなるタイプのヒューマンなので最高の道でしかないけど、そういうの苦手で心折れちゃうタイプのヒューマンにはキツい道だと思う。ただし走った分だけどんどん中禅寺湖が眼下に遠ざかっていくのだけは誰でも楽しめると思う。

 

無限に繰り返すワインディングをこなして、切通しを超えると、中禅寺湖とは逆の南東側の山々が視界に広がる。これがどこまでも山しか見えない上、そのほぼ全てが今自分がいる場所より低いので最高に気持ち良い。ああ、これこれ。この感覚、まさに"スカイライン"だな。

 

暫く進むと再び中禅寺湖側が見渡せる展望ポイントに到着する。駐車場が広く取ってあるわりにガラガラだった。ここから見下ろす中禅寺湖、正面に間近に見える男体山、この景色は中禅寺湖スカイラインのハイライト。

 

展望駐車場を過ぎると再び道は山の南東側に入り中禅寺湖側が見えなくなるものの、この時点で既に南東側にこの地点より標高の高い山は無く、それでもなお坂を登っていくこの道は、まるで空に向かって突き刺さっていくような感覚になる。そうそう、これが"スカイライン"だよね。2日間、最高の紅葉と絶景にまみれてきた挙げ句、夕方になって空に突き刺さるような道を走れるこの幸せ。


道の終点はこれまた無駄に広い駐車場になっていて、南西側の足尾の山々も見渡せた。この日は午後から低い雲が垂れ込めていたけど、隙間から射す陽光がきれいに写真に写った。中禅寺湖スカイライン、本当に最高の道。

 

渋滞のいろは坂

中禅寺湖スカイラインは終点の半月山駐車場でどん詰まりなのでそのまま折り返し、夕暮れの中禅寺湖の景色を楽しみつついろは坂ダウンヒルへ向かう。

 

予想通りいろは坂は渋滞していたものの、道幅が広く途中で止まって写真撮ったりするのもしやすかった。道がやや荒れているので、空いてて飛ばしちゃうより混んでるぐらいの方が逆に走りやすいと思った。

 

途中で止まって下を見下ろしたり、中禅寺湖方面を見上げたりしてよくわかったんだけど、いろは坂ってのはとんでもない崖を這うようにして作った道。他であんまり見かけないような超絶な崖を登るエグい道なのに、それでいて渋滞するほどの観光道路であることが信じられなかった。

 

エピローグ

例によって(?)、予定通りいろは坂を下り切る頃に日が落ちて真っ暗になり、ひたすら駅への道を下っていきました。途中の街並みとかも明るかったら趣があって面白かったのかもしれないけど、まあそれはそのうち見れるだろうし、今回はプラン外。サクッと電車に乗って帰りました。